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商品先物銘柄トピックス

アイルランドに850億ユーロ

先週に引き続きアイルランドの話であるが、11月28日、EU理事会はアイルランドに850億ユーロ(約9兆5000億円)を融資することを決定した。欧州金融安定化基金7500億ユーロからの支出である。欧州に支援を求めるのはギリシャに続いてアイルランドが2カ国目。アイルランドは欧州連合(EU)から450億ユーロ、国際通貨基金(IMF)から225億ユーロを受け取るほか、自国の国家年金積立金基金から175億ユーロを拠出する。このうち、100億ユーロはただちに(銀行に)資本注入され、250億ユーロは緊急時の銀行支援枠、500億ユーロは財政支援枠として設定する。要するに半分はアイルランドの銀行救済措置に回される。

この決定に先立ちドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領、EUのファンロンパイ大統領(首脳会議常任議長)、そして欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は28日、あるユーロ圏参加国がトラブルに陥った場合、民間の債権者が負担を共有するとの提案で合意した。 つまり国債の保有者はどこかの国がデフォルトや返済繰り延べ、あるいはヘアカット(債権の一部棒引き)等のリスクを応分に担うべきだという。アイリッシュ銀行の社債は20%の償還となり、80%が損失となったが、国債においても同様なリスクが生じる可能性があるということになる。アイルランド危機は不動産バブル崩壊に伴う金融機関の倒産リスクであり、農業国家から急速に経済成長した歪みだともいえるが、同様な懸念がスペインとポルトガルに生じている。今のところポルトガルの財務相は28日同国の状況について報告し、ポルトガルが講じている措置について説明し、EUから同様の支援を受ける必要はないとの認識を示した。また、スペイン政府は先週17自治州に対し来年の歳出と債券発行に対して上限を設けることで合意したという。GDP比の財政赤字を今年の9.3%から来年は6.0%に引き下げると主張しているが、歳出の5割を占める自治州の協力がなければ達成できない。

アイルランドは一段落したとしても、PIIGSの国々の財政赤字削減はいずれも厳しい歳出削減を伴った計画が達成できるかにかかっているが、各国の労働者や市民は反対行動を取っており、歳出削減を主導する政府は選挙に落選する可能性がある。こうした不安を抱えたEUは当分景気回復は見込めないだろう。その影響が商品に対してどう表れるか。まず第一に直近ではユーロが再び安くなり、ドル高になっている。一方米国国民の株式離れが進んでおり、米国の株式MUTUAL FUNDの残高が減少しているという。一方で、米国からの海外株式MUTUAL FUNDの残高が増加しており、資金が中国Private Equity投資、インドの不動産投資、ブラジルの株式、豪州国債に向かっているという。短期的にはドル高で商品価格が下落しているが、中長期的にはドルも安くなり、新興国通貨が上昇するかもしれない。その動きは商品高につながるだろう。

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2010年11月29日(月)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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