[ ここから本文 ]

商品先物銘柄トピックス

FRBと金価格

8月のFRB(米連邦準備制度理事会)によるFOMC(公開市場委員会)後のバーナンキ議長によるジャクソンビルにおける講演は何の具体案も提示されずに 終わった。8月9日のFOMCで既に9月20日のFOMCは2日間の日程に延長して景気回復策を徹底的に討論するという日程が了承されていたが、バーナンキ議長は、そのことをジャクソンビルでの講演まで取っておいたようだ。 つまり、9月20日に何か具体案を出すので、それまで待って欲しいということである。その間に、先週末の非農業部門雇用者数の増減が市場予想の75,000人増がゼロだったことを受け、市場ではバーナンキ議長がQE3を打ちだす可能性が高くなったと見ている。

金価格にとってQE3は必ずしも上げ材料とは限らないと思われる。原油やプラチナ等の工業原料需要は、株価が上がると共に価格上昇への期待があるが、金にとっては、ドル安、インフレ懸念という要因で強気にとらえるしかない。これまで金価格が上がってきた基本的な要因は、銀行が倒産して預金が返金してもらえなくなるという恐れであった。その原因は、サブプライム問題であり、ソブリンリスクであった。ソブリンリスクもギリシャがデフォルトになることは何の問題もない。ギリシャ国民にとっては徳政令というありがたい事態である。しかし、それを何が何でも阻止しようとしたのはECBであり、ヨーロッパの中銀であった。なぜなら、ギリシャ国債を大量に抱えているのはECBや中銀であり、また、欧州の市中銀行であるからだ。ギリシャ国債のデフォルトは即不良債権の山を意味する。

しかし、QE3で資金が市場にジャブジャブになり、ドル安になると言うこと事態が金高の直接的要因ではない。インフレは、景気が回復して初めてインフレになる恐れが出てくるが、QE3を行うことによって、果たして景気は回復するかどうか極めて疑問なところが、なかなかバーナンキ議長がQE3に踏み切らない根拠である。QE1、QE2で成功したのは、株高と商品高だけであった。企業は相変わらず資金を借りる行動には出ず、雇用も悪化こそすれ、回復はしていない。個人消費も以前は借金して消費する体質であった米国人は、将来の収入増が見えないため、借金してまで消費する傾向は薄れている。銀行がいくらお金を貸しますよと企業や個人にPRしても、使う気持が無ければ資金は国債や商品投資に走るしかない。

だが、9月20日〜21日のFOMCではQE3に近い政策は出さざるを得ないだろう。政策が手づまりだからである。バーナンキ議長は長期的な成長に必要な政策の大半はFRBの範囲外にあると演説の最後で述べ、財政政策の重要性を強調している。

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2011年9月6日(火)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL先物比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性 および正確性を保証いたしません。また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。 したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、 当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。 掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。
掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。 お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、 その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。 当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。
掲載情報のうち「商品先物銘柄トピックス」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、 個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。