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商品先物銘柄トピックス

ギリシャ問題どうなっているのか?

ギリシャ国会は12日緊縮財政法案を賛成199対反対74で可決した。全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)の二大政党が年金や最低賃金のカットを含む法案を支持した。新聞論調では、これでギリシャ危機が去ったという見方が書いてあるがそれは間違いである。

ギリシャ救済の今後のスケジュールとしては、15日にユーロ圏財務省会議と並行してギリシャ債務の持続性についての修正評価が公表される。その後元本の半分を減らすギリシャと民間債権団との協議が再開される。ドイツ等ユーロ圏の一部の国の議会は その後に第2次救済資金供与を承認しなければならない。それが終わったの四3月1日〜2日の欧州首脳会議と3月上旬のIMF理事会で二次支援と債務交換を正式承認する。余裕資金を持っていないEFSFは3月上旬に債券を発行し、二次支援第一弾融資を実行するための資金を調達する。こうして初めて3月20日の国債償還にぎりぎり融資が間に合うという段取りである。どれ一つつまずいても3月20日の145億ユーロのギリシャの国債借り換え資金は調達できないことになり秩序無きデフォルトに陥る可能性がある。

最大の山場は民間金融機関との債務交換協議であり、またそれが妥結してもその債務交換に対する民間金融機関の参加率が問題となる。90%以上の民間金融機関が自発的に債務交換を受け入れるかどうかが鍵となっている。その参加率が少なければ少ないほど、ギリシャの債務負担は拡大し、70%の場合287億ユーロ、GDP比で13.2%も増加する。参加率が想定を下回れば集団行動条項(CAC)条項を決議し、強制的な参加に切り替える必要がある。そうなれば格付け会社がデフォルトと見なす可能性があり、またECBが保有する約500億ユーロと見なされるギリシャ国債も損失が発生する。更に国債のデフォルト時の損失を補償するCDSの支払い事由に該当することとなり、米国金融機関へ損失が波及する。それを危惧して米国政府からCAC条項発動を取り下げるよう要求がある可能性もある。

欧州金融機関は昨年12月21日にECB(欧州中央銀行)が実施した3年物の資金供給オペ(LTRO)によって資金繰りが潤沢となり、2月29日に予定される第二回OPEで資金繰りの問題は解消するものと思われる。従って、ギリシャ不安がすぐに金融機関の信用不安やイタリア、スペイン国債の利回りを上げる可能性は少ない。しかし、こうした貸し出しにより、問題が解決されたのではなく、先送りにされているだけであることは認識しておく必要があるだろう。

金価格は、ギリシャ不安が沈静化したとして下落している。しかし、沈静化は一時的なものでしかなく、ギリシア国会が緊縮財政を可決したのは、一つの条件が満たされたに過ぎない工程である。再びデフォルト不安が出る可能性があり、金価格はそれに反応することもあるだろう。

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2012年2月14日(火)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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