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商品先物銘柄トピックス

ギリシャ選挙と金価格

NY金価格は月曜日G8サミットでギリシャ支援に対する即効性のある具体策が示されなかったことを失望して3.20ドル安の1588.7ドルとなった。金価格の予測で少し難しいのは、2010年以降ギリシャの債務不安が大きくなるたびに、質への逃避で金価格は上昇してきた。ところが、2011年秋からリスクマネーからの逃避の中に金投資も含まれるようになってしまい、商品投資全般からの撤退ということで株価の下落と同様に金価格も下落する傾向があることだ。本来の金の特性からすれば、まさかの時に強い金であり、株価の下落時にも上昇する金価格であったのだが、いつからか株価と同列に金投資が動くようになっている。

さて、ギリシャ問題の行方の選択肢に合わせて金価格を表現すると以下となるが、上記のように、法則が混在しているので、金価格の予測はかなり難しい。

6月17日のギリシャ総選挙に向けての動向

1)反緊縮派のSyizaが勝利しそうな場合 → 新政権が緊縮策を撤回してEU・IMFとの交渉決裂 → ギリシャ政府の資金繰り行き詰まり → 年金、公務員給与支払い遅延 → 社会的混乱 → 政府債務の元利払い停止(無秩序なデフォルト) → 金融ショックの発生 ⇒ 金高

2)新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が勝利しそうな場合 → EU・IMFの第二次支援策を受け入れて緊縮財政を実行 ⇒ 金安

仮に新民主主義党と全ギリシャ社会主義運動が勝利したとしても、

1)ギリシャが緊縮財政だけで、債務返済はできない可能性が高い。そのためギリシャは自らの意思でユーロ離脱(ユーロを離脱する規定がないのでギリシャがEU首脳会議へ告知すれば可能:ただし、ギリシャ国民の8割はユーロ離脱を望んでいない)ドラクマ等新通貨を発行して切り下げを行う。

  → 輸入インフレが、通貨安による観光業や海運業収入のメリットを上回る

  → ハイパーインフレの招来 → ユーロ建て債務を抱えた企業の返済不能

  → 企業倒産 → ギリシャ企業に融資していたギリシャ・フランス・ドイツの銀行不良債権発生→ 欧州金融不安再燃 ⇒ 金高 (ただし株安ユーロ安・ドル高になって金安になる可能性もある)

2)ギリシャに対する債務返済猶予・債務帳消しを行う ⇒ 金安

要するに、どう転んでもギリシャが経済的に立ち直る可能性は極めて少ないということである。そうした場合、欧州各国が取る対策は、ギリシャでの損害が欧州のほかの国に及ばないように防波堤を築くことであるが、ギリシャの債務切り捨てを行えば、スペインやポルトガルも同様な要求をすると、欧米の金融機関がより大きな不良債権処理をせざるを得なくなるということであり、事態は容易には収集しないと思われる。そうした全体の流れからすれば、金は高くならざるを得ないだろうと思う。

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2012年5月22日(火)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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