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商品先物銘柄トピックス

コメのセミナーを聞いた感想

 先週東京商品取引所のセミナー会場で行われたコメ市場に関するセミナーはたいへん意義のあるものであった。檀上にはコメ取引の当業者が座り、司会者の質問にそれぞれが答える形式であったが、最初の方はコメの生産農家であり、今年の4月自分が生産するコメの半分程度を先物市場で売却して利益を確定したという。この生産農家は古くから農協を通さずに直接顧客に販売する形式を取っていたが、先物市場を利用すれば、顧客の範囲が広がり、いつでも好きな時に秋にできるであろうコメを売却することができるため、先物市場はとても便利で重宝しているという。二人目の卸売業者の方は、今年は在庫が大変多くなり、売れ残りが出て困ったが、以前なら、安値でたたかれ投げ売りして大きな損失が出ているところを、先物市場があるおかげで、価格が下がると思った時に先物市場で売却してしまい、ついでに、空売りまでして利益が出たという。こんなありがたいことは無いと述べられた。在庫資金を浮かすためにも先物市場はなくてはならないものであるという。

 三人目の大手コメ卸売業者の方も、以前商社マンとして飼料を扱っており、シカゴ市場で取引するのは当たり前であったが、常務として現在の卸売業者に入社した当初は先物市場が無いことに戸惑ったという。それでも全農が価格変動リスクを背負ってくれていたので、それならそれでいいかと思っていたら、だんだん全農はリスクを取ってくれなくなり、相場変動リスクがもろにその卸売業者にかかってきた。在庫品の価格が下がると大損が出る体質になってしまったところにコメ先物市場ができたので、いつでも在庫を先物市場で処分できるようになり、たいへんありがたいという。また外食チェーンなどに売り契約を先に行い、後からコメを調達する場合でも、先物市場があれば問題なくできる。ただ、大口の外食チェーン店との契約は、コメ先物市場で何万トンという単位の取引が成立しないので、その点が残念だという。

 このセミナーを聞いて当業者の人々が商品先物取引を利用すれば、それなりに大きな役割を先物市場が果たすことができることを実感した。東京商品取引所のセミナールームはコメの当業者の方でいっぱいであったので、彼らも何等かのインパクトを受けて帰られたことだと思う。

 商品先物取引はとかく投資の場としてとらえられがちだが、本来の役割は、当業者の人々が扱う商品を受け渡したり、在庫品の価格変動リスクをヘッジする場であり、そこに多くの投機家が参入すれば、公正な価格を形成する場になるという社会的意義のあるものになる。

 当業者が多く入れば、現物の損益の反対側が先物市場になるため、その分だけ投機家は市場で勝ちやすくなる。つまり、当業者は現物で利益が出る場合は先物で損失がでることをいとわないため、ゼロサムゲームの敗者となってくれる。投機家はその分勝ちやすくなるというわけである。そうした意味でも、コメの先物取引をもっと活発に行うことは、今後の商品先物取引の一つの立ち直りの方策となるだろう。

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2013年10月28日(月)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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