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商品先物銘柄トピックス

3月15日という特異日

 米国トランプ大統領の政策が不透明な中で、期待値ばかりが先行して株価を高みに押し上げている。問題は財源にある。ことに3月15日には2015年から停止されていた債務上限法案が復活する。超党派協定により大統領選挙期間中の債務上限は一時的に撤廃されていたが復活するに際し、当時の政府の現金資金残高に戻す必要があり、15日の政府現金資金は230億ドルになるはずである。これは半年もたてば政府職員の給与が支払えなくなる水準であり、米国政府は借金をしなければ何もできないという現実に直面する。ムニューシン財務長官は9日議会に対して連邦債務の上限を「可能な限り早期に」引き上げるよう要請したが、今後議会での議論となる見込みである。トランプ大統領の減税にしろ、インフラ投資にしろ、財布の中身がなければ絵に描いた餅に過ぎない。財布は空っぽなので借金せざるを得ないが、借金すれば財政赤字が米国GDPに占める比率は過去最大になる。それを与党共和党の財政正常化論者が義を曲げるかどうかが見ものである。2月28日の大統領演説以来派手なアドバルーンの打ち上げは控え気味のトランプ大統領は、初めて政治の現実に直面して、うまくこの難局をこなすことができるであろうか。

 一方欧州では15日オランダの下院議員選挙が行われる。世論調査では、「反イスラム」を掲げるヘルト・ウィルダース党首率いる極右・自由党が、マルク・ルッテ現首相の保守党に次いで2位に付けている。欧州連合離脱を望むウィルダース氏が予想外に躍進すれば、総選挙後にオランダ国債の利回りが上昇する可能性がある。同氏の勝利は予想されていないが、多くの支持が同氏に集まれば、反欧州統合の流れが強まったと解釈するだろう。また英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、英議会の上下両院は13日、EUからの離脱交渉を開始するメイ首相の計画を承認する法案を可決した。40年間に及ぶ緊密で複雑なEUとの関係を解消する舞台を設定する歴史に残る瞬間だ。スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、ブレグジットの諸条件が判明し次第、英国からの独立の是非を問う2回目の住民投票を求めることを決断した。この結果、英国がEUから首尾よく離脱しても、今度は英国自体が分裂しかねない事態も予想される。ドイツのアンゲラ・メルケル首相を含むEU首脳は、英国がEU外にいることによって、EU内部にいる以上に良好なEU市場へのアクセスと便宜を得ることがないようにしたいと述べている。今後二年間にわたって行われる英国と欧州の交渉は、お互いに厳しいやり取りになるかもしれない。それは双方の経済にとって打撃となるだろう。こうした情勢を受けて、Bank of America Merrill Lynchは年末まで金価格は1400ドルに+200ドル上昇すると予想している。

 FRBは米雇用者数の大幅増と賃金圧力の上昇を受けて、14・15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに踏み切ることはほぼ確実とみられている。さらに、FRBは年内にさらなる追加利上げを実施する可能性を示唆する公算が大きい。一方、イングランド銀行(英中銀)と日銀の金融政策会合では、世界の中央銀行による追加緩和は検討されていないとの見方が裏付けられる見通しだ。

 世界の株価や商品価格は昨年初めを100とすると、軒並み上昇している。米国株価ですらその値上がり率は全証券市場の真ん中に位置するに過ぎないほど世界の株価は過熱している。おそらく何かのきっかけでだれかが売りを出せば、一斉に同じ方向に動く相場つきとなっている。3月15日は、米国の債務上限問題も、FRBの利上げも、欧州の選挙の開幕も、どれ一つとっても株価や商品価格の下落、金価格の上昇のきっかけとなってもおかしくない事象が重なっている。

 原油価格は先週50ドルを下回った。米国の在庫が9週間連続で増加し、先週木曜日も+前週比780万バレルという大幅増であったためだ。OPECは順調に減産を行っているが、減産の間隙を縫って北海油田や米国、ブラジルからOPECの、最大でかつ世界で唯一石油需要が伸びているアジア地域に対して輸出攻勢がかけられており、サウジアラビアなどのシェアが奪われている。サウジアラビア高官は7月以降の減産について、米国のシェールオイル生産企業を喜ばせるためには行いたくないと本音を述べている。

 プラチナ価格は世界的な宝飾品需要の低迷によって価格は下がっている。というより、プラチナ市場の人気が薄れていると思われる。1990年代は東京商品取引所が世界のプラチナ市場をけん引する市場であった。しかし2014年の5カ月にもおよぶ南アのプラチナ鉱山のストライキにも価格が下落したため、投資家は日本の市場から去っていった。その後プラチナ価格は低迷したままであるが、その影響が南アのプラチナ鉱山会社の業績に表れており、体力がなくなっているプラチナ鉱山は運転資金も滞る状況にある。こうした生産者の疲弊は将来の深刻な供給不足に表れると思う。すでに5年も供給不足であるが、それでも価格は低迷している。こうした異常事態は、時間はかかるとしてもいずれ価格が修正され需給は改善されると思っている。つまり長期投資でこつこつと安値のプラチナを買い拾っていけばよいと思う。東京商品取引所に3月21日からプラチナスポット取引という決済期限の無い証拠金取引が始まる。いつまでも買ったままで放っておいても良い取引だ。ただし、評価損失が大きくなり証拠金が足りなくなると証拠金を積み増す必要がある点は留意されたい。

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株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2017年3月15日(水)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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