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商品先物銘柄トピックス

電気自動車の石油需要に対する影響

自動車においても、真の意味の電気自動車は充電する必要の無い燃料電池車である。そうなればプラチナの出番となる。燃料電池は水素と酸素を反応させるという過激な化学反応によって電気が得られる。発電される環境は非常に過酷なため、通常の金属やセラミックでは耐えられない。何物にも侵されず、かつ導電性の高いプラチナしか燃料電池の電極素材を担うものはいない。だから電気自動車が燃料電池化するとプラチナの需要は現在の5倍になるという。無論技術は日進月歩であり、高価なプラチナを使わない燃料電池の開発は大学の研究室等で研究されているので、ABNアムロ銀行が言うようにプラチナ価格が2300ドルになるかどうかは保証の限りではない。

さて、電気自動車が発達すると、触媒需要の減少だけでなく、ガソリンやディーゼル車という石油燃料で走る車が少なくなる。これに対しては世界の石油業界はどう考えているのだろうか。OPECにもその予想を書いたレポートが出ているが、ここではBPの最新のレポートの論点を見てみたい。

これによると、現在世界を走っている乗用車の台数は約9億台であり、これは日量約1900万バレルの石油を消費している。現在の石油の総需要量日量9500万バレルの約5分の1である。もう少し詳しく石油の需要分野を分解すると、石油需要日量9500万バレルの56%が輸送用で半分以上を占める。そのうち24%がトラックで、乗用車20%でこれが日量1900万バレルに相当する。船舶や航空機等その他の輸送用が12%である。輸送用56%以外の石油の需要は工業用が28%、電力用が5%、その他が11%という割合となる。

2035年までのBPの予想では乗用車の保有台数は現在の9億台が18億台に二倍になると予想している。その伸びの大半が新興諸国によるものである。自動車に使われる石油需要は現在の日量1900万バレルが2035年には2400万バレルになると見ている。旅行需要の伸びは+2200万バレルあるが、燃費効率の改善によって▲1600万バレル減少し、天然ガスと電気自動車への変換によって▲100万バレルの減少と見ている。つまり、BPは電気自動車への転換によっても2035年までなら、さほど石油需要に影響は無いと見ている。電気自動車になっても、ガソリンや軽油の需要は減ったとしても、発電用エネルギーは必要であり、全てが原子力や再生エネルギーで賄えるわけではない。また、2035年までなら、それほど電気自動車化は進まないと見ている。なぜなら、自動車需要が増えるのはもっぱら新興諸国であり、たとえばアフリカ等では、まず高価な電気自動車よりも、安価なガソリン車やディーゼル車から売れていくと見ている。2035年に電気自動車が3億8千万台になるというシナリオでは、自動車用石油需要は現状の1,900万バレルが2,000万バレルになるに過ぎないという。旅行需要の伸びが+2,200万バレル、燃費効率の改善が▲1,600万バレル、電気自動車への転換により▲460万バレルであるという。つまり、今後の自動車用石油需要は、電気自動車への転換による減少よりも既存のガソリンやディーゼル車の燃費効率の改善によって石油消費量が減る方がずっと深刻な問題なのだという。

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株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世

2018年1月31日(水)

株式会社コモディティー インテリジェンス 近藤雅世(こんどう まさよ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。

コラム提供:株式会社コモディティー インテリジェンス

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