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先物マーケットコラム

原油は過剰在庫の解消期待で高値もみ合い

【金は好調な米雇用統計で上げ一服】
 7月31日の週の商品市場は、ニューヨーク原油が、世界的な過剰在庫の解消期待を受けて5月25日以来の高値50.43ドルを付けたが、利食い売りなどを受けて上げ一服となった。サウジアラビアの輸出制限見通しに加え、米国がベネズエラからの原油輸入を制限する可能性が出たことが支援要因になった。米トランプ政権は31日、ベネズエラのマドゥロ大統領個人に対する制裁を発表した。ベネズエラで憲法改正に向けた制憲議会選挙が30日に実施されたことを受け、米国の管轄下にあるマドゥロ氏の資産を凍結するほか、同大統領との取引を禁止する。ベネズエラからの原油輸入を禁止する可能性も出ているが、政権内では原油輸入制限の是非については意見が分かれている。ベネズエラは米国にとって世界第3位の原油調達先であり、禁輸となれば一段高の可能性も出てくる。50ドル台で利食い売りが出て上げ一服となったが、米国の原油在庫減少や、好調な米雇用統計を受けてガソリン需要の堅調が見込まれたことが下支えであり、ベネズエラの行方を確認するまでは高値圏でのもみ合いとなる可能性がある。また7~8日には石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の専門家会合で、減産合意の順守について協議が行われる。一方、ニューヨーク金は、ドル安を受けて6月23日以来の高値1,273.3ドルを付けたが、高値で実需筋の買いが見送られるなか、好調な米雇用統計によるドル高をきっかけに上げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が戻るようなら金ETF(上場投信)からの投資資金流出が圧迫要因になるとみられる。ただ11日には7月の米消費者物価指数の発表があり、インフレ動向を確認したい。

【ベネズエラは米国の追加制裁と国内動向を確認】
 サンクトペテルブルクで開催された共同閣僚監視委員会(JMMC)でナイジェリアに生産枠が設けられたことや、サウジアラビアが輸出制限見通しを示したことをきっかけに原油は一段高となり、50ドルを試した。また米シェールオイル大手の設備投資縮小で生産増加が鈍化するとの見方も支援要因になった。米国のベネズエラの追加制裁の行方も焦点だが、同国の外貨準備が100億ドルを割り込み、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のデフォルト(債務不履行)の可能性も指摘されており、ベネズエラ国内の行方も焦点である。ベネズエラ政府は4日、憲法改正を目的とする制憲議会を発足させた。制憲議会は憲法改正を目的とした立法機関で、三権を超越した権力を保持し、国会の解散や大統領選の延期などが可能になる。原油関連では、同国内の生産の約4割を占める外資との合弁企業の国有化が検討されており、実施されれば外資が撤退し、PDVSAがデフォルトするとみられている。

 米エネルギー情報局(EIA)が発表した7月28日までの週間石油統計によると、原油在庫は、前週比152万7,000バレル減の4億8,188万8,000バレル、ガソリンは同251万7,000バレル減の2億2,767万9,000バレル、留出油は同15万バレル減の1億4,941万4,000バレルとなった。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油受け渡し場所となるオクラホマ州クッシングの原油在庫は同3万9,000バレル減の5,580万バレルとなった。事前予想は原油が330万バレル減。ただ米原油生産量は日量943万バレルと2015年7月以来の高水準となった。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された8月4日までの週の米石油リグ稼動数は前週比1基減の765基となった。昨年末の525基から増加傾向にあるが、6月30日以降、3回目の減少となり、伸びが鈍化している。

【原油・金ETFからの投資資金流出が続く】
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月1日時点の大口投機家の取組は、ニューヨーク原油が48万6,765枚買い越し(前週42万3,338枚買い越し)に拡大した。新規買い・買い戻しが入った。ニューヨーク金は12万9,672枚買い越し(同9万831枚買い越し)、ニューヨーク・プラチナは1万2,812枚買い越し(同1万183枚買い越し)に拡大した。金・プラチナともに新規買い・買い戻しが入った。

 ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は8月4日時点で2億4,830万株となり、前週末比1,860万株減少した。戻り場面で利食い売りが出た。USOが先物市場につないでいる原油の買い玉は4日時点のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で5万850枚(同3,804枚減)となった。一方、8月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.73トン減の787.14トンとなった。予想以上の米雇用統計を受けて投資資金が流出した。

【プラチナ堅調も上値を伸ばせるかどうか】
 ニューヨーク・プラチナ12月限は4月24日以来の高値974.4ドルを付けた。ドル安に加え、7月24日の戻り高値943.6ドルを突破し、テクニカル面で改善したことが支援要因となった。欧米のプラチナETF(上場投信)に投資資金が流入しており、引き続き買われるようなら、一段高の可能性も残る。ただ上海プラチナの出来高減少で中国勢など実需筋は高値での買いを見送っている。また米新車販売台数の減少や、英仏の脱内燃機関の動きで、今後の自動車触媒需要の伸び悩みが警戒される。

 7月の米新車販売台数は前年同月比7%減少し、年率換算で1,673万台となった。販売減は5カ月連続。レンタカー会社向けのフリート販売削減の動きを受けて各社とも在庫削減に向け早めの工場稼働停止に動くという。パラジウムはリースレート(貸出金利)の高止まりが支援要因だが、900ドル台で利食い売りが出て上げ一服となっており、米国の販売減少などが上値を抑える要因になった。

 2日のドイツの会合では自動車大手3社が国内500万台余りのディーゼル車のソフトウエアを更新することで合意した。ドイツ自動車工業会(VDA)の発表文によれば、この修正で大気汚染の原因となる窒素酸化物排出量を平均25~30%削減することを目指すという。また持続可能な都市交通を促進するための基金創設や、古くなったディーゼル車の買い替え奨励も盛り込むことで合意した。英国とフランスが2040年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を示したが、ドイツでは雇用への影響を懸念し、主要都市におけるディーゼル禁止措置を回避する方策が模索された。



2017年8月7日

(みんかぶ 東海林 勇行)

株式会社みんかぶ 東海林 勇行

担当
商品先物市場、為替

経歴
1996年から商品先物業界でアナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、現在、貴金属担当。貴金属の需給に加え、経済指標や市場間の投資資金の動向を分析、予測。テクニカル分析もし、値動きをわかりやすく解説できるように努めています。

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