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先物マーケットコラム

金は米英仏のシリア攻撃も反応は限定的

【金はレンジ上限付近で戻りを売られる】
 4月9日週のニューヨーク金市場は、6月限が2月16日以来の高値1,369.4ドルを付けたのち、中国の習近平国家主席の演説を受けて貿易摩擦に対する懸念が後退したことから上げ一服となった。ただシリア情勢に対する懸念が残っており、情勢の行方を確認したい。シリアの首都ダマスカス近郊の東グータで7日、毒ガス攻撃が行われたとされる問題で、国連安全保障理事会が化学兵器使用に関する調査機関設置のために米国が作成した決議案を採択したが、ロシアが拒否権を行使し否決された。米大統領がシリア攻撃の可能性を示したが、米ホワイトハウスは12日、米大統領がシリア情勢を巡り国家安全保障チームと協議を行ったものの、「最終決定には至っていない」と発表した。米国のヘイリー国連大使は13日、シリアのアサド政権が7年間にわたる内戦で、化学兵器を少なくとも50回使用したとの米政府による試算を発表した。米英仏は14日、シリアの化学兵器施設を攻撃した。国連安全保障理事会は、ロシアが提出したシリア攻撃を非難する決議案を、3カ国などの反対多数で否決した。ペンス米副大統領は、シリアのアサド政権が化学兵器使用を繰り返せば「代償を払うことになる」と述べ、状況次第でシリア再攻撃も辞さない構えを強調した。ロシアのプーチン大統領は15日、欧米が再びシリアを攻撃すれば、世界は混乱に陥ると警告した。シリアを巡って欧米とロシアの対立が深まるようなら、金の支援要因になるとみられる。
 中国の習近平国家主席は、海南省で開催中のボアオ・アジアフォーラムで演説し、中国経済の開放をさらに進め、自動車を含む一部製品の輸入関税を年内に引き下げる方針を表明した。トランプ米大統領はツイッターで「習主席の丁重な発言に感謝する」と述べたが、中国商務省は、米国との貿易問題がエスカレートした場合の準備は十分できており、ちゅうちょなく反撃すると警告した。また中国と米国は二国間の貿易摩擦を巡る交渉を行っていないとしており、今後の交渉の行方が当面の焦点である。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、メンバー全員が向こう数カ月間に国内景気が底堅さを増し、インフレ率も上昇するとみていたことが明らかとなった。CMEフェドウォッチによると、13日時点で6月の利上げ確率が97.9%と利上げが見込まれており、その後に利上げが加速するかどうかが焦点である。ただ3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が半年ぶりの低い伸びとなった。また3月の米消費者物価指数(CPI)が前月比で下落しており、今後発表される経済指標を確認したい。年3回の利上げ予想に変わりがなければドルの戻りが売られる可能性が出てくる。
 米大統領が次期国務長官に指名したポンペオ中央情報局(CIA)長官は、北朝鮮が非核化に向けて不可逆的な措置を講じるまで、米朝首脳会談から見返りを得ることを期待すべきではないとの見解を示した。北朝鮮は段階的非核化を求めているが、同長官は過去に行われた北朝鮮との交渉では、米国や他の関係国が制裁緩和を急いだことが北朝鮮による合意破棄を招いたと指摘した。27日には南北首脳会談があり、北朝鮮の反応も確認したい。また今週は日米首脳会談がある。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万5,372枚となり、前週の16万6,589枚から縮小した。今回は手じまい売りが220枚、新規売りが1万0,997枚出て買い越しを1万1,217枚縮小した。一方、4月13日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.90トン増の865.89トンとなった。シリア攻撃の可能性を受けて投資資金が流入した。

【プラチナは貿易摩擦に対する懸念後退も上値重い】
 ニューヨーク・プラチナ7月限は、金堅調につれ高となり、3月29日以来の高値946.0ドルを付けたのち、上げ一服となった。中国の習近平国家主席の演説を受けて貿易摩擦に対する懸念が後退したが、米中間の交渉はまだ行われていないとされ、先行き懸念が残っている。3月の中国の自動車販売が増加し、パラジウムが地合いを引き締めたことはプラチナの支援要因だが、ファンダメンタルズは中立であり、リスク選好の動きが戻るまでは値固めの動きが続くことになりそうだ。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,000枚となり、前週の2万3,743枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、13日のロンドンで11.35トン(6日11.25トン)に増加、ニューヨークで17.61トン(同17.61トン)と横ばい、南アで25.09トン(同25.10トン)に減少した。

【NY原油はシリア情勢に対する懸念で一段高】
 ニューヨーク原油は、シリア情勢に対する懸念などを受けて堅調となり、2014年12月以来の高値67.76ドルを付けた。また石油輸出国機構(OPEC)月報で世界的な過剰在庫が引き続き減少傾向にあることが示されており、ファンダメンタルズの改善が続くと、支援要因になるとみられる。ただ米石油リグ稼動数が増加しており、利食い売り主導の調整局面も警戒される。米エネルギー情報局(EIA)が発表した4月6日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比330万6,000バレル増加した。事前予想は125万バレル減。米原油生産量は引き続き過去最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された4月13日までの週の米石油リグ稼動数は前週比7基増の815基となった。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月10日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは70万7,080枚となり、前週の69万9,545枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は13日時点で1億4,220万株となり、前週末比750万株減少した。

【4月16日からの週の注目ポイント】
16日 米小売売上高(3月)                    ☆☆☆
   米対米証券投資(2月)                     ☆
   アトランタ連銀総裁、講演                   ☆☆
17日 中国GDP(第1四半期)                    ☆☆
   中国小売売上高(3月)                     ☆
   米鉱工業生産(3月)                     ☆☆
   クオールズFRB副議長、下院金融委員会で証言          ☆☆
   シカゴ連銀総裁、講演                     ☆☆
   アトランタ連銀総裁、講演                   ☆☆
   フィラデルフィア連銀総裁、講演                ☆☆
   サンフランシスコ連銀総裁、講演                ☆☆
   日米首脳会談                        ☆☆
   IMF世界経済見通し                       ☆
18日 米地区連銀経済報告(ベージュブック)             ☆☆
   クオールズFRB副議長、講演                  ☆☆
   NY連銀総裁、講演                       ☆☆
19 日豪雇用統計(3月)                     ☆☆☆
   米景気先行指数(3月)                     ☆
   米新規失業保険申請件数(14日までの週)             ☆
   クオールズFRB副議長、講演                  ☆☆
   ブレイナードFRB理事、講演                  ☆☆
   クリーブランド連銀総裁、講演                 ☆☆
20日 日本消費者物価指数(3月)                  ☆☆
   シカゴ連銀総裁、講演                     ☆☆
   IMF世銀、春季総会                       ☆
   G20財務相・中央銀行総裁会議                 ☆☆
21日 国際通貨金融委員会                     ☆☆
*重要度を3段階で表示



ニューヨーク金は貿易摩擦に対する懸念後退でレンジ相場を継続
 ニューヨーク金6月限は2月16日以来の高値1,369.4ドルを付けたが、レンジ上限を突破できずに上げ一服となった。中国の習近平国家主席の演説を受けて貿易摩擦に対する懸念が後退したことが上値を抑える要因になった。シリア情勢に対する懸念を受けて金ETF(上場投信)に逃避買いが入り、米英仏が14日に攻撃を実施したが、週明けの反応は限られた。金は1,309.3から1,375.5ドルのレンジ相場を継続することになりそうだ。



2018年4月16日

(みんかぶ 東海林 勇行)

株式会社みんかぶ 東海林 勇行

担当
商品先物市場、為替

経歴
1996年から商品先物業界でアナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、現在、貴金属担当。貴金属の需給に加え、経済指標や市場間の投資資金の動向を分析、予測。テクニカル分析もし、値動きをわかりやすく解説できるように努めています。

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