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先物マーケットコラム

金はドル高一服が下支えに

【金は投資資金流出が続く】
 7月2日週のニューヨーク金市場は、8月限が2017年7月以来の安値1,238.8ドルを付けたのち、ドル高一服を受けて下げ一服となった。ドイツの連立政権の行方に対する懸念を受けてユーロ安に振れたが、メルケル独首相との移民問題の協議で妥協が成立したことからドル高が一服した。一方、6月の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことを受けてドル安に振れた。また米中の関税が発動しており、貿易戦争に対する懸念からドル安が続くと、金の下支えとなる可能性が出てくる。
 米中の関税が6日に発動し、貿易戦争の行方が当面の焦点である。米国は中国からの輸入品500億ドルのうち、第1弾として340億ドルに関税を発動し、中国も同規模の措置を取った。残りの第2弾が2週間以内に発表される見通しである。中国人民銀行幹部は米国の追加関税で中国の成長率は0.2%低下するとの見方を示し、全体的な影響は限られるとした。一方、ドイツの経済紙ハンデルスブラットが、欧州連合(EU)が米自動車関税を撤廃すれば、トランプ米大統領がEUからの自動車輸入に関税を課すとの案を撤回する可能性があると報道し、欧米の自動車関税に対する懸念が後退した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は、トランプ米政権が導入を検討する自動車輸入関税について、「自社の規模縮小」につながり、世界市場から米企業を隔離する可能性をはらむと指摘しており、欧米の自動車関税の行方も確認したい。
 ポンペオ米国務長官は6〜7日に北朝鮮を訪問し、朝鮮労働党の金英哲副委員長と非核化に向けて協議した。北朝鮮は協議後に「ギャングのような」要求だったと米国を非難する声明を出したが、同長官は会見で「誠実で生産的な話し合いだった」と述べた。同長官は8日、日米韓外相会談後の共同会見で、完全な非核化の実現まで北朝鮮への制裁を続ける方針を強調した。6月の米朝首脳会談で朝鮮半島の非核化で合意したが、北朝鮮が最近、複数の秘密施設で兵器用の核燃料を増産していると報じられ、非核化の行方に対する懸念が出ていた。
 インドの金プレミアムは前週、1.5ドルとなり、前々週の2ドルのディスカウントからプレミアムに転じた。宝飾業者の多くが価格下落を待っている。金価格は下落したが、ルピー建て金価格はルピー下落により、下げ幅は限られている。市場では今年のインドの金輸入が18%減少するとみられている。一方、中国の金プレミアムは2〜5ドルとなり、前々週から変わらずとなった。米中の関税発動を控えて中国人民元が下落しており、実需筋は貿易戦争の行方を見極めたいとしている。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万6,672枚(前週9万6,512枚)に縮小。7月3日分は9日に発表される。一方、7月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比16.79トン減の802.24トンとなった。ドル高の見方が強く、投資資金の流出が続いた。

【NYプラチナは一代安値更新後に下げ一服】
 ニューヨーク・プラチナ10月限は一代安値800.7ドルを付けたのち、ドル高一服などを受けて下げ一服となった。米中の関税発動を控えていることも下げ要因となり、投げ売りが出る格好となった。ただ安値では上海プラチナの出来高が増加し、実需筋の買いが入った。引き続き買われると下支え要因になるとみられる。一方、米中の関税発動について、中国人民銀行幹部は全体的な影響は限られるとしており、過度の警戒感が後退すると、プラチナは買い戻し主導で上昇する可能性が出てくる。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは6,115枚(前週5,161枚)に拡大。7月3日分は9日に発表される。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は2日のロンドンで10.44トン(29日10.44トン)と変わらず、6日のニューヨークで15.98トン(同15.83トン)に増加、南アで24.28トン(同24.86トン)に減少した。

【NY原油は高値更新も在庫増加などで上げ一服】
 ニューヨーク原油は、2014年11月以来の高値75.27ドルを付けたが、在庫増加などを受けて上げ一服となった。米国のイラン制裁による輸出減少が警戒されたが、サウジアラビアの増産見通しや米中の貿易戦争に対する懸念が上値を抑える要因になった。米中の関税が発動しており、貿易戦争の行方を確認したい。米エネルギー情報局(EIA)が発表した6月29日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比124万5,000バレル増加した。事前予想は450万バレル減。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された7月6日までの週の米石油リグ稼動数は前週比5基減の863基となった。
 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月26日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは62万5,091枚(前週58万947枚)に拡大。7月3日分は9日に発表される。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は6日時点で1億1,810万株となり、前週末比500万株減少した。

【7月9日からの週の注目ポイント】
9日 国際収支(経常収支)(5月)                  ☆☆
   独貿易収支(5月)                       ☆
   米消費者信用残高(5月)                    ☆
10日 中国消費者物価指数(6月)                  ☆☆
   中国生産者物価指数(6月)                  ☆☆
   独ZEW景況感指数(7月)                   ☆☆
   英貿易収支(5月)                       ☆
   英鉱工業生産指数(5月)                   ☆☆
11日 機械受注(5月)                       ☆☆
   米生産者物価指数(6月)                   ☆☆
   米卸売在庫(5月)                       ☆
   政策金利発表(カナダ銀行)                 ☆☆☆
12日 独消費者物価指数(6月確報)                 ☆☆
   ユーロ圏鉱工業生産(5月)                  ☆☆
   米新規失業保険申請件数                   ☆☆
   米消費者物価指数(6月)                  ☆☆☆
   米財政収支(6月)                      ☆☆
13日 中国貿易収支(6月)                     ☆☆
   米輸出入物価指数(6月)                    ☆
   米ミシガン大消費者信頼感指数(7月速報)           ☆☆
*重要度を3段階で表示



ニューヨーク金は1,250ドル割れで下げ一服に
ニューヨーク金8月限は2017年7月以来の安値1,238.8ドルを付けたのち、下げ一服となった。欧州連合(EU)首脳会議やドイツで移民問題で合意し、ユーロ主導でドル高が一服したことが下支えとなった。RSIが売られ過ぎの水準から戻りており、テクニカル面では安値修正局面となった。一方、6月の米雇用統計での失業率上昇や賃金の伸び鈍化を受けてドル安に振れており、ドル安が続くと、下支え要因になるとみられる。



2018年7月9日

(みんかぶ 東海林 勇行)

株式会社みんかぶ 東海林 勇行

担当
商品先物市場、為替

経歴
1996年から商品先物業界でアナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、現在、貴金属担当。貴金属の需給に加え、経済指標や市場間の投資資金の動向を分析、予測。テクニカル分析もし、値動きをわかりやすく解説できるように努めています。

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